叶わぬ恋だと分かっていても
***

「名前は何にするの?」

 空輸でやってきたその子を指定の場所までなおちゃんと一緒にお迎えに行って、アパートまで連れ帰ったらなおちゃんがそう聞いてきて。

 手のひらより少し長いくらいの小さな赤ちゃんフェレットを、今まさに用意していたケージに移したばかり。

 今日は疲れているだろうから、休ませてあげなくちゃ。

 そう思いながらケージに布を被せて、「直太朗(なおたろう)」って答えたら、なおちゃんがキョトンとした。

「なおちゃんの名前から一文字もらったの。――ダメ?」

 なおちゃんの名前の「直行(なおゆき)」から「直」の字をもらって「直太朗」。

「私たち、いつも一緒にいられるわけじゃないから、この子の名前になおちゃんの名前を1文字入れて……いつもそばにいられるような気分になれたらなって」

 そう付け加えたら、なおちゃんにギュッと抱きしめられた。

「ごめん、菜乃香(なのか)。寂しい思いをさせてるよな。直太朗、いいと思うよ」

 強く抱きしめられながら、なおちゃんは私のことを妻にしてくれる気はないんだ、ってその言葉から改めて実感させられて……すごくすごく切なくなった。
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