叶わぬ恋だと分かっていても
旅立ち
 なおちゃんからの求めに応じて、金曜日の仕事が終わってすぐ。

 私は一旦アパートに戻って前の日に準備していた旅支度(たびじたく)のあれこれをたずさえて、最寄りの新幹線駅に向かった。

 新幹線の駅付近にはたくさんの駐車場が乱立していて、その全てが1日いくらという料金形態。

 当然駅に近い立地の駐車場ほど駐車料金がお高めで、離れた場所ほどお安くなっている。

 いつもなら少々歩いてもいいかな?って少し離れた駐車場を利用する私だけど、今回はなおちゃんが「何も気にしなくていいから近場に停めておいで」と言ってくれたので、戸惑いつつもお言葉に甘えて駅に一番近い場所にある駐車場へ愛車を滑り込ませた。

 駐車料金は最高値の一泊400円。遠いところの最安値だと250円のところもあるから、結構な差額。
 何泊も、となるとこの辺の差が痛くなってくるのかもしれないけれど、幸い私は2泊3日。

 実はなおちゃんから、彼が旅立つ前に「旅費」という名目で幾らかのお金を預かっている。
< 90 / 242 >

この作品をシェア

pagetop