叶わぬ恋だと分かっていても
 こう言うふとした瞬間に、なおちゃんがそばにいない寂しさを痛感して……。
 彼に早く会いたいって恋しさが膨らむの。

 重い荷物に四苦八苦する身体とは裏腹、心はすっかりなおちゃんのいる福岡に舞い飛んでいた。


 愛フェレットの直太朗は、駅に向かう前に実家に飼育用具一式とともにお預けしてきたからきっと大丈夫。
 うちの家族は生き物を溺愛する傾向にある一家だから、直太朗も迎えに行く頃には「帰りたくないよぅ」ってごねるようになっているかも?

 そんなことを思いながらチケット売り場で切符を買って、下り方面の新幹線が停車するホームへ向かう。

 ちょっと見ない間に、改札が無人の自動改札機になっていてちょっぴりドギマギしてしまった。
 前は有人ゲートで、駅員さんが切符にスタンプを押してくれていたんだけどな。

 いつの間にこんな風に変わったんだろう。

 新幹線に乗るのなんて、大学生の頃、帰省する折に使って以来だから、実に1年以上ぶり。

 自分の預かり知らないところで、世界はどんどん変化しているんだなぁとか妙に感慨深く感じてみたり。
 

 改札を抜けると、ここでもまた階段が。
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