叶わぬ恋だと分かっていても
 とにかくこの駅は階段が多いイメージなんだけど、これ、よその新幹線駅も、なのかな。

 もちろん、エレベーターやエスカレーターも完備されていたけれど、不倫旅行にうつつを抜かしている自分への戒めも込めて、わざと階段を選んだから余計にしんどくて。

 プラットホームに辿り着く頃には、私、すっかり息が上がってしまっていた。

 運動不足だよね、これ。本当情けないっ。

 最寄り駅のホームには、依然として電動のゲート(ホームドア)などは出来ていなくて、白線の内側を歩かないと何かの拍子に線路に落下してしまいそうな、そんな雰囲気。

 前に神戸に旅行に行った時、線路はホームドアに(はば)まれた向こう側だったけれど、田舎の駅で利用者が少ないからかな。
 まだそういう整備はされていないみたいで。

 行く前に荷物でふらついて線路に落下!は嫌だから、なるべくホームの真ん中の辺りを歩いた。
 どうやらこの駅、山陽新幹線の駅の中でもかなり利用者数が少ない方らしくて1日千人も乗り降りしないみたい。

 当然19時近い時刻ともなると、ホームにいる人影も私を含めて5名にも満たなくて。
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