とあるヒロインと悪役令嬢の顛末



ああ、ほら、ハンカチが酷く濡れてしまってますよ。
古いですが清潔なので、こちらのハンカチを使ってください。

泣きすぎると目が溶けるって、私の故郷では言ってましたよ。

美人が台無しですよ、『メグお義姉(ねえ)様』



そんなに泣かないでください。
わかりました、もう妃殿下とは呼びませんから。


私に大切なお話があるんですね。

分かりました。落ち着いて、ゆっくり話してください。
涙が止まるまで、ちゃんと待ちます。




ご結婚前の話なのですか?

ーーそういえば、結婚式を挙げられたのは、思ったより遅かったですね。
学園を卒業したら、すぐにご成婚と伺っていましたのに。

ああ……お義姉(ねえ)様としては、皇太子様が私に心変わりされて、さらに私と離れて元に戻ったからといって、確かにすぐに結婚する気にはなれませんわね。

私のせいですわね…
婚約解消された高位貴族の子息も何人もいらっしゃるとか。


こんな能力(ギフト)、呪いでしかありませんわね。
誰一人幸せにしない……
私自身が望んで異世界転移したわけではないとしても、あまりにも不用意に人の心に干渉し過ぎました……



義姉(ねえ)様、はっきり仰ってください。
私は、処刑なり追放なりされるべきです。
覚悟は出来ています。


話が逸れていますか?
あ、本当だ。
義姉(ねえ)様の結婚前のお話を聞くんでした。
はい、思い込みが激しいのは、私の悪いところだと、以前お義姉(ねえ)様にも言われましたわね……

では、伺います。





ええっ⁉︎
西のダンジョンに⁉︎
なんて無謀なことをなさるの、お義姉(ねえ)様‼︎

お怪我は?なんともないのですか?
確かに魔力量は帝国有数なお義姉(ねえ)様ですが…
皇太子殿下と側近の皆様、その奥方様達も協力されたのですか?
死ぬ確率の高いダンジョンなのに、あの皇太子殿下が許可されたのですか…
まあ!心変わりを盾に押し通すなんて、さすがお義姉(ねえ)様……
でも、どうして……




……まさか、そんな。
西のダンジョンに、古代アーティファクトが?
『ギフトブレイカー』と言うのですか?
それって…





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