全部欲しいのはワガママですか?~恋も仕事も結婚も~
1.三十七歳未婚の苦悩と、再会
***
七月も半ばを過ぎた。一年で一番暑い季節だけあって、通勤するだけで朝から汗が吹き出す。
ラッシュの時間帯を避ける目的も兼ねて、私は毎朝早めに出勤している。
冷房のスイッチを入れてオフィス内を冷やし、自分のデスク回りの拭き掃除を済ませてから、休憩スペースでコーヒーを淹れる。
別に無理はしていないのだが、なぜかこの一連の行動がルーティンになっていてしっくりくるのだ。
逆にこれが崩れるとその日は調子が出ない。
私の名は及川 郁海。
家具やインテリア雑貨を販売する㈱ALBコーポレーションの商品企画部で働いている。
入社して十五年目になる中堅社員で、年齢は三十七歳になった。
「おはようございます。及川さんは今日も早いっすね」
「峰松くん、おはよう」
声をかけられて振り向くと、同じ部署の後輩である峰松くんがやってきてカップにコーヒーを注いでいた。
「仕事はできるし、服装も立ち居振る舞いも完璧ですよね!」
今日の服装はスタンドカラーの白のブラウスに、ネイビーのタイトスカートを合わせた。
このブラウスは上品だと周りから評判がいいから自分でも気に入っている。
時にはクライアントの会社を訪問したり、逆に来客の対応をすることもあるので、常にビジネスカジュアルの域を出ないように心掛けているつもりだ。
スーツ着用の義務はないとはいえ、あまりカジュアルすぎるのはマナーに欠けるから。
七月も半ばを過ぎた。一年で一番暑い季節だけあって、通勤するだけで朝から汗が吹き出す。
ラッシュの時間帯を避ける目的も兼ねて、私は毎朝早めに出勤している。
冷房のスイッチを入れてオフィス内を冷やし、自分のデスク回りの拭き掃除を済ませてから、休憩スペースでコーヒーを淹れる。
別に無理はしていないのだが、なぜかこの一連の行動がルーティンになっていてしっくりくるのだ。
逆にこれが崩れるとその日は調子が出ない。
私の名は及川 郁海。
家具やインテリア雑貨を販売する㈱ALBコーポレーションの商品企画部で働いている。
入社して十五年目になる中堅社員で、年齢は三十七歳になった。
「おはようございます。及川さんは今日も早いっすね」
「峰松くん、おはよう」
声をかけられて振り向くと、同じ部署の後輩である峰松くんがやってきてカップにコーヒーを注いでいた。
「仕事はできるし、服装も立ち居振る舞いも完璧ですよね!」
今日の服装はスタンドカラーの白のブラウスに、ネイビーのタイトスカートを合わせた。
このブラウスは上品だと周りから評判がいいから自分でも気に入っている。
時にはクライアントの会社を訪問したり、逆に来客の対応をすることもあるので、常にビジネスカジュアルの域を出ないように心掛けているつもりだ。
スーツ着用の義務はないとはいえ、あまりカジュアルすぎるのはマナーに欠けるから。
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