全部欲しいのはワガママですか?~恋も仕事も結婚も~
「ほんと、そんな結婚は辞めて正解だ。一生モラハラされ続けるところだったじゃないか」
「だよね」
見合い話を持ってきた張本人である母は、私に対してさすがに申し訳なさそうにしていた。
相手が名家で、そのブランドに飛びついた自分が悪かった、と。
母が言うには、やんごとなくてもっと上品な人たちだと、勝手に思い込んでいたそうだ。実際は逆に他人を見下す下品な人たちだったけれど。
「その点、俺は大丈夫だよな。お互いの家のことはなんとなく知ってるし。なんせ母親同士は友達だ」
たしかに萩谷家と及川家で、家柄が釣り合わないのどうのと揉めることはないだろう。
魁のお父さんとは面識がないけれど、お母さんはやさしくて素敵な人だ。
いや、私たちはそこが問題なのではなくて、そもそも恋愛を始めてしまってもいいのかという部分で、私は悩んでいる。
その先にある結婚までは到底考えが及ばない。
「俺が彼氏として優秀だって、認めさせてやるよ」
魁が自信満々な表情で不敵な笑みを浮かべた。
どうしてそう言い切れるのか、それは若さ故なのか……。
「付き合うのは、もうちょっと考えさせて?」
魁をひとりの男性だときちんと認識できているくせに、こんなに押されても首を縦に振れない自分が不器用すぎて情けない。
「だよね」
見合い話を持ってきた張本人である母は、私に対してさすがに申し訳なさそうにしていた。
相手が名家で、そのブランドに飛びついた自分が悪かった、と。
母が言うには、やんごとなくてもっと上品な人たちだと、勝手に思い込んでいたそうだ。実際は逆に他人を見下す下品な人たちだったけれど。
「その点、俺は大丈夫だよな。お互いの家のことはなんとなく知ってるし。なんせ母親同士は友達だ」
たしかに萩谷家と及川家で、家柄が釣り合わないのどうのと揉めることはないだろう。
魁のお父さんとは面識がないけれど、お母さんはやさしくて素敵な人だ。
いや、私たちはそこが問題なのではなくて、そもそも恋愛を始めてしまってもいいのかという部分で、私は悩んでいる。
その先にある結婚までは到底考えが及ばない。
「俺が彼氏として優秀だって、認めさせてやるよ」
魁が自信満々な表情で不敵な笑みを浮かべた。
どうしてそう言い切れるのか、それは若さ故なのか……。
「付き合うのは、もうちょっと考えさせて?」
魁をひとりの男性だときちんと認識できているくせに、こんなに押されても首を縦に振れない自分が不器用すぎて情けない。