全部欲しいのはワガママですか?~恋も仕事も結婚も~
「飲み物ならあるけど?」

「つまみになるようなものとかも調達してくるよ」

「ごめん。助かる」


 魁は気をつかってくれたのだろう。
 買い出しに行ってくれているあいだに、私がチャーハンを作れるから。

 適当に味付けをしたチャーハンを器によそってテーブルに並べていたら、コンビニから魁が戻ってきた。


「おかえり」

「ただいま。郁海、俺……今日泊まっていい?」


 レジ袋を提げた魁が、その中からハブラシを取り出して目線の高さに掲げ、あざとい笑みを浮かべる。


「……うん」


 瞬時にその意味を理解した私は動揺して顔を赤くしてしまう。


「まさか、そのためにコンビニに行ったの?」

「もちろんほかにも買い物したよ。俺の着替えとか?」


 レジ袋の中にはビーフジャーキーやビールなど、当初予定していた品物も当然あるのだけれど、魁はハブラシと一緒に下着も購入していた。

< 115 / 149 >

この作品をシェア

pagetop