全部欲しいのはワガママですか?~恋も仕事も結婚も~
「やだな、朝からどうしたのよ」
「及川さんは若い社員のお手本みたいな人だなって、いつも思ってるだけです」
こういう発言をする峰松くんは若いな、と瞬間的に思ったものの、彼はえっと……私より七期下だから、今年で三十歳になる。
もう新人の域はとっくに超えていて、彼だって入社したての社員とは年齢が離れてきているから、ジェネレーションギャップが生じ始めるころだ。
「あーあ、お世辞がうれしい年になっちゃったなぁ」
「お世辞じゃないっすよ。マジでカッコいいっす!」
「もうおばさんでしょ。あ、会社だから“お局様”かな」
私が自虐的にアハハと笑い飛ばせば、峰松くんは複雑な笑みを浮かべて去っていった。
後輩を困らせてしまっただろうか。
若手社員たちに嫌われている自覚はないものの、実際には陰で私がどう言われているかはわからない。
それこそお局様として鬱陶しがられているのかもしれないが、私の耳に入ってきてはいないから、わざわざ知る必要もない。
中堅社員というのは難しいポジションなのだ。
上からはあれこれうるさく叱咤され、下にはモチベーションを上げさせるように励まさなければならない。気を使いすぎて半端なくストレスが溜まる。
「及川さんは若い社員のお手本みたいな人だなって、いつも思ってるだけです」
こういう発言をする峰松くんは若いな、と瞬間的に思ったものの、彼はえっと……私より七期下だから、今年で三十歳になる。
もう新人の域はとっくに超えていて、彼だって入社したての社員とは年齢が離れてきているから、ジェネレーションギャップが生じ始めるころだ。
「あーあ、お世辞がうれしい年になっちゃったなぁ」
「お世辞じゃないっすよ。マジでカッコいいっす!」
「もうおばさんでしょ。あ、会社だから“お局様”かな」
私が自虐的にアハハと笑い飛ばせば、峰松くんは複雑な笑みを浮かべて去っていった。
後輩を困らせてしまっただろうか。
若手社員たちに嫌われている自覚はないものの、実際には陰で私がどう言われているかはわからない。
それこそお局様として鬱陶しがられているのかもしれないが、私の耳に入ってきてはいないから、わざわざ知る必要もない。
中堅社員というのは難しいポジションなのだ。
上からはあれこれうるさく叱咤され、下にはモチベーションを上げさせるように励まさなければならない。気を使いすぎて半端なくストレスが溜まる。