全部欲しいのはワガママですか?~恋も仕事も結婚も~
デートは駿二郎から誘われるのが大半で、この二年間、私から誘ったケースはほとんどない。
決して彼にハマってはいけないと肝に銘じてきたから。
でも正直、女として彼に心から愛されたいという気持ちはあった。
人づてに奥さんの妊娠を知ってしまったし、私と駿二郎のあいだの、絶妙に保たれていたバランスが崩れていく感じがしてちょっぴり不安だ。
所詮“不倫”だと気持ちをクールダウンしようとする自分と、この気持ちは恋心がきちんと存在しているから“恋愛”だと主張する自分がいて、私の中でそれらが正面衝突している。
ダメな私は、この先どうすればいいのかなかなか決められない。色恋沙汰で振り回されるのはご免なのに。
「あのさ、まだ内示の段階だから、秘密にしてほしいんだけど……」
由華さんが急に真面目な顔をして、口をキュッと引き結んだ。
「なにかありました?」
「昨日、人事部の部長から呼ばれてね。私、また来月に異動になるらしいわ。今度はデジタル推進部だって」
「え?! またですか?」
由華さんは半年前に商品企画部からマーケティング部に異動したばかりだ。
いくらなんでもこんなに短期間でまた部署が変わるなんて、変だと思う。
決して彼にハマってはいけないと肝に銘じてきたから。
でも正直、女として彼に心から愛されたいという気持ちはあった。
人づてに奥さんの妊娠を知ってしまったし、私と駿二郎のあいだの、絶妙に保たれていたバランスが崩れていく感じがしてちょっぴり不安だ。
所詮“不倫”だと気持ちをクールダウンしようとする自分と、この気持ちは恋心がきちんと存在しているから“恋愛”だと主張する自分がいて、私の中でそれらが正面衝突している。
ダメな私は、この先どうすればいいのかなかなか決められない。色恋沙汰で振り回されるのはご免なのに。
「あのさ、まだ内示の段階だから、秘密にしてほしいんだけど……」
由華さんが急に真面目な顔をして、口をキュッと引き結んだ。
「なにかありました?」
「昨日、人事部の部長から呼ばれてね。私、また来月に異動になるらしいわ。今度はデジタル推進部だって」
「え?! またですか?」
由華さんは半年前に商品企画部からマーケティング部に異動したばかりだ。
いくらなんでもこんなに短期間でまた部署が変わるなんて、変だと思う。