全部欲しいのはワガママですか?~恋も仕事も結婚も~
「どうもこうもないですよ~」
コーヒーを淹れて誰も居ない場所に移動し、今朝の出来事を由華さんに話して聞かせたところ、彼女は眉間にキュッとシワを寄せて怒りをあらわにした。
「その商品、売れてないのは郁海のせいじゃないでしょ」
「店舗での展示の仕方とか、私が行って改善しろってことみたいです」
「それは店舗のスタッフと営業部の仕事でしょうが」
私もそう思う。どうしたら売れるかを考えるのは営業部の社員で、私は商品企画部なのだから、この異動は筋違いだ。
里中部長も“不本意だ”と口にしていたから、部長の意向ではなさそうだし……。どうしてこうなったのかはわからないのだけれど。
「実は私のほうも、郁海に伝えておきたい情報があるの」
由華さんの顔がいつもの明るい表情に戻らなかったので、今度も良くない話なのだろうと気構えた。
「山路本部長が社内不倫してるみたいだって、総務部の女子社員のあいだで噂になってる」
「え?!」
「このままただの噂として、収まってくれたらいいんだけどね」
誰かに駿二郎と会っているところを見られたのだろうか。
どうしても噂の出どころが気になってしまう。
コーヒーを淹れて誰も居ない場所に移動し、今朝の出来事を由華さんに話して聞かせたところ、彼女は眉間にキュッとシワを寄せて怒りをあらわにした。
「その商品、売れてないのは郁海のせいじゃないでしょ」
「店舗での展示の仕方とか、私が行って改善しろってことみたいです」
「それは店舗のスタッフと営業部の仕事でしょうが」
私もそう思う。どうしたら売れるかを考えるのは営業部の社員で、私は商品企画部なのだから、この異動は筋違いだ。
里中部長も“不本意だ”と口にしていたから、部長の意向ではなさそうだし……。どうしてこうなったのかはわからないのだけれど。
「実は私のほうも、郁海に伝えておきたい情報があるの」
由華さんの顔がいつもの明るい表情に戻らなかったので、今度も良くない話なのだろうと気構えた。
「山路本部長が社内不倫してるみたいだって、総務部の女子社員のあいだで噂になってる」
「え?!」
「このままただの噂として、収まってくれたらいいんだけどね」
誰かに駿二郎と会っているところを見られたのだろうか。
どうしても噂の出どころが気になってしまう。