全部欲しいのはワガママですか?~恋も仕事も結婚も~
峰松くんからもっと情報を得られたらと思って探りを入れてみたのだが、彼もこれ以上は知らないようだった。
駿二郎本人からまだなにも聞いていないので、土屋さんとの仲もただの噂に過ぎないのかもしれない。
というか、そう願う自分がいる。駿二郎からきちんと否定の言葉を聞きたい。
「そういえば今回の及川さんの異動も変ですよね。いきなりだったし。……あ、もしかして及川さんも本部長と不倫してました?」
「バ、バカなこと言わないで!!」
「冗談ですって!」
一瞬、心臓が止まるかと思うほどビックリさせられた。
だけど……今のですべてが繋がってしまった。きっと峰松くんの言葉通りだ。
違うと思いたいけれど、私の奇妙な人事異動は本部長である駿二郎が指示した可能性が濃厚になった。
土屋さん同様、私を遠くへ追いやるために。
いつでも迅速に仕事の方針を決める駿二郎はカッコよくて、輝いて見えていた。
ふたりで会っているときも包容力があって頼もしくて。
でも本当の彼は、私が知るよりももっともっと腹黒いのかもしれない。
なぜだかふと、急に魁の笑顔が頭に浮かんできた。
純真無垢……とまでは言わないが、狡猾な策謀とは無縁な感じがしてホッとする。
ああいう笑顔は駿二郎にはないから新鮮なのだ。
『俺……がんばる』
『俺の初恋の相手は、郁海なんだ』
魁は昔から真っすぐだから、あの言葉も丸っきりウソではないのだろう。
とはいえ、三十七歳で年上の私は、浮かれて鵜呑みにするわけにはいかないのだけれど。
駿二郎本人からまだなにも聞いていないので、土屋さんとの仲もただの噂に過ぎないのかもしれない。
というか、そう願う自分がいる。駿二郎からきちんと否定の言葉を聞きたい。
「そういえば今回の及川さんの異動も変ですよね。いきなりだったし。……あ、もしかして及川さんも本部長と不倫してました?」
「バ、バカなこと言わないで!!」
「冗談ですって!」
一瞬、心臓が止まるかと思うほどビックリさせられた。
だけど……今のですべてが繋がってしまった。きっと峰松くんの言葉通りだ。
違うと思いたいけれど、私の奇妙な人事異動は本部長である駿二郎が指示した可能性が濃厚になった。
土屋さん同様、私を遠くへ追いやるために。
いつでも迅速に仕事の方針を決める駿二郎はカッコよくて、輝いて見えていた。
ふたりで会っているときも包容力があって頼もしくて。
でも本当の彼は、私が知るよりももっともっと腹黒いのかもしれない。
なぜだかふと、急に魁の笑顔が頭に浮かんできた。
純真無垢……とまでは言わないが、狡猾な策謀とは無縁な感じがしてホッとする。
ああいう笑顔は駿二郎にはないから新鮮なのだ。
『俺……がんばる』
『俺の初恋の相手は、郁海なんだ』
魁は昔から真っすぐだから、あの言葉も丸っきりウソではないのだろう。
とはいえ、三十七歳で年上の私は、浮かれて鵜呑みにするわけにはいかないのだけれど。