全部欲しいのはワガママですか?~恋も仕事も結婚も~
***
「及川さん、本社から指示メールが来たんで、目を通してもらえますか?」
「わかった。ありがとう」
相変わらず本社にはいつ戻れるのかわからないまま働く日々だが、道長くんとのコンビはだいぶ息が合ってきた。
彼が売上アップに繋がるアイデアを出そうとがんばってくれるので、仕事はやりやすい。
そんなある日のこと、私の職場に意外な人物が現れた。
「お。働いてる郁海もいいなぁ」
「え?! 魁……なんでここに?」
私が店内で商品チェックしているところへいきなり声をかけてきたのは、白のパーカーにデニムパンツというカジュアルな格好をした魁だった。
店舗勤務になったことはやり取りをするメッセージの中で伝えてはいた。
だけど連絡もせずにやってくるなんて思いもしなかったので驚いてしまった。
「なんでって、買い物。カーテンを新しくしようかと」
「そっか」
「せっかくだから郁海が選んでよ」
なにが“せっかく”なのか意味がわからないが、魁と言えども一応お客様なので接客を怠るわけにもいかない。
笑みをたたえて軽くうなずき、彼をカーテン売り場に案内した。
「及川さん、本社から指示メールが来たんで、目を通してもらえますか?」
「わかった。ありがとう」
相変わらず本社にはいつ戻れるのかわからないまま働く日々だが、道長くんとのコンビはだいぶ息が合ってきた。
彼が売上アップに繋がるアイデアを出そうとがんばってくれるので、仕事はやりやすい。
そんなある日のこと、私の職場に意外な人物が現れた。
「お。働いてる郁海もいいなぁ」
「え?! 魁……なんでここに?」
私が店内で商品チェックしているところへいきなり声をかけてきたのは、白のパーカーにデニムパンツというカジュアルな格好をした魁だった。
店舗勤務になったことはやり取りをするメッセージの中で伝えてはいた。
だけど連絡もせずにやってくるなんて思いもしなかったので驚いてしまった。
「なんでって、買い物。カーテンを新しくしようかと」
「そっか」
「せっかくだから郁海が選んでよ」
なにが“せっかく”なのか意味がわからないが、魁と言えども一応お客様なので接客を怠るわけにもいかない。
笑みをたたえて軽くうなずき、彼をカーテン売り場に案内した。