全部欲しいのはワガママですか?~恋も仕事も結婚も~
「こういう感じの遮光カーテンは人気かなぁ、まぁでも、あとは好みだから。魁が好きな色のを選んだらどうかな?」

「郁海はどれがいいと思う?」

「私は魁の部屋を知らないから、どの色が合うのかわからないよ」


 カーテンは家の中のインテリアと色味を合わせたほうがしっくりくる。
 敷いているラグとか家具の雰囲気がわからないと、無責任に選んだりできないのは当然だ。


「じゃあ、実際に見に来て?」

「魁の家に? ……別に行ってもいいけど。インテリアを見るだけなら時間もかからないし」

「ええ?! なんでそんなにあっさりとオッケーするんだよ。ほかのヤツが同じように家に来いって誘っても行くのか? 危ないな」


 話が全然かみあっていない気がして、思わずポカンと魁を見上げてしまう。
 家に来いと言ったのは魁のほうなのに、なぜオッケーするのかと非難されても困るのだが。


「ほかの人なら断るに決まってるでしょ。魁は特別」


 表情を変えずに淡々と言葉を紡ぐ私に対し、魁は口元をニヤニヤと緩めて顔を赤く染めた。

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