全部欲しいのはワガママですか?~恋も仕事も結婚も~
4.恋人未満の関係から、恋人へ
しばらく車を走らせた魁は、とあるマンションの駐車場に停めて私を降ろした。
その建物の十階を目指し、連れだってエレベーターに乗る。
「いい部屋に住んでるのね」
ひとり暮らしなので、そんなに広い居住空間ではないものの、魁の住む部屋はとてもすっきりとした印象だった。
あまり物がないからそう感じたのかもしれない。
「カーテンは落ち着いたベージュ色なんかがいいと思う」
ラグやテレビボードがブラウンなので、カーテンは薄いベージュ色を合わせれば部屋の中が明るくなりそうだ。
「ちょっとくらい警戒しないのか? 俺が急に襲うかもしれない、とか」
「魁はそんな悪い人じゃないでしょ? 私が嫌がることはしない」
「それを言うのはずるいな。強力なバリケードだ」
私には敵わないとばかりに、口を尖らせる魁は何気にかわいくて、あのころを思い出す。
基本的には魁は変わっていないはずだと、そこは信じている。
その建物の十階を目指し、連れだってエレベーターに乗る。
「いい部屋に住んでるのね」
ひとり暮らしなので、そんなに広い居住空間ではないものの、魁の住む部屋はとてもすっきりとした印象だった。
あまり物がないからそう感じたのかもしれない。
「カーテンは落ち着いたベージュ色なんかがいいと思う」
ラグやテレビボードがブラウンなので、カーテンは薄いベージュ色を合わせれば部屋の中が明るくなりそうだ。
「ちょっとくらい警戒しないのか? 俺が急に襲うかもしれない、とか」
「魁はそんな悪い人じゃないでしょ? 私が嫌がることはしない」
「それを言うのはずるいな。強力なバリケードだ」
私には敵わないとばかりに、口を尖らせる魁は何気にかわいくて、あのころを思い出す。
基本的には魁は変わっていないはずだと、そこは信じている。