Come Fly With Me
数日が経った日のことである。

「今日、フライト前の王子と遭遇しちゃった!」

「えーっ、超うらやましいんですけど!」

またその話題か…と、私は息を吐きたくなった。

王子こと副操縦士の荒巻昴さんの話題は1日に1回は必ず出てくるので、正直なことを言うと聞き飽きていた。

まあ、確かに芸能人なのかと思うくらいにかっこいいと言えばかっこいいけど…ぶっちゃけ、興味があるかどうかと聞かれたら興味がない。

「宮脇さんはどう思いますか?」

「ちょっと、宮脇さんはそんな話には一切の興味がないんだから」

「あっ、そうですか。

ごめんなさい、宮脇さん」

彼女たちはそそくさと私の前から離れて行った。

「…別に何にも言ってないんだけど」

目の前で勝手に繰り広げられたコントに、私はどう反応すればいいのかわからなかった。
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