Come Fly With Me
「珍しいですもん、宮脇さんが男の人と話をしているの」

「ああ、そう…」

私は返事をすると、
「竹内さんはY大学で言語学を教えている先生なのよ」
と、言った。

「大学の先生なんですか?

えーっ、すごいですね」

「私が知っているのは名前と職業だけかな」

私は止めていた紙ナプキンの補充を始めた。

「後は知らないんですか?

年齢とか結婚しているかどうかとか」

「知らないよ、お客さんなんだから」

と言うか、そんなことを知ってどうするんだと言う話である。

「宮脇さんって、本当にそう言うのに興味がないですよね。

過去に何かあったんですか?」

やや呆れ気味に聞いてきた同僚に、
「別に何も」

私は答えると、次のテーブル席での紙ナプキンの補充を始めた。
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