Come Fly With Me
そう、私と荒巻さんは結婚しているのである。

「今日は何もなかったか?」

そう聞いてきた荒巻さんに、
「何もなかったです」

私は答えた。

まさかな話ですよね…。

皆様の憧れの存在である王子が結婚しているうえに、その妻は日本食レストランのホールスタッフだ。

「夕飯はどうする?」

「先にお風呂に入ります。

夕飯は温めてから食べますし、後片づけもやりますので、荒巻さんは先にお休みになってください」

「うん、わかった」

荒巻さんはそう返事をすると、自室へと足を向かわせたのだった。

その後ろ姿を見送ると、
「何とも事務的だな、おい…」
と、私は息を吐いた。

まあ、当然と言えば当然なのかも知れないけれど…。
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