初恋ラストレター
***
「さあ、みんな大きく口を開けて〜! 縦に開けるのよ! 強調するところ弱めるところ、メリハリをしっかり!」
三年三組の教室に響き渡る歌声に、三浦先生の弾む声が乗っかった。手拍子が相槌を打つように、リズムよく叩かれる。
小さかった口をもう少しだけ広げて、私はスカートの裾をギュッと握った。この時間が一番の苦痛だ。早く終わってくれないかな。
みんなの声に紛れながら、私は口を動かす。心の奥で、不安と罪悪感を抱きながら。
『なあ、蛍さんの声って、なんか変じゃね?』
小学四年のとき、クラスの男子が言い出した。面と向かってではなく、後ろで集まっている人たちとの日常会話の一部として。
それに反応して、『私も思ってた』と何人かの女子も話に入った。隠すわけでもなく、バカにして笑い合っているみんなから逃げるように、私は教室を後にした。
あの時から、声に、全てに自信がなくなって、人と話すことが怖くなった。特に、男子と歌は苦手だ。喉が震えて、縮こまるほどに。
「さあ、みんな大きく口を開けて〜! 縦に開けるのよ! 強調するところ弱めるところ、メリハリをしっかり!」
三年三組の教室に響き渡る歌声に、三浦先生の弾む声が乗っかった。手拍子が相槌を打つように、リズムよく叩かれる。
小さかった口をもう少しだけ広げて、私はスカートの裾をギュッと握った。この時間が一番の苦痛だ。早く終わってくれないかな。
みんなの声に紛れながら、私は口を動かす。心の奥で、不安と罪悪感を抱きながら。
『なあ、蛍さんの声って、なんか変じゃね?』
小学四年のとき、クラスの男子が言い出した。面と向かってではなく、後ろで集まっている人たちとの日常会話の一部として。
それに反応して、『私も思ってた』と何人かの女子も話に入った。隠すわけでもなく、バカにして笑い合っているみんなから逃げるように、私は教室を後にした。
あの時から、声に、全てに自信がなくなって、人と話すことが怖くなった。特に、男子と歌は苦手だ。喉が震えて、縮こまるほどに。