初恋ラストレター
 分厚い図書の本を持っているのもあって、帰りの足取りがいつもより重い。
 公園の敷地へ入ったら、海賊船の遊具の前に私服姿の男の子がいた。ぼやけた輪郭がくっきりして、やっぱり宮凪くんだと確信する。

 今日は制服じゃない。学校を休んだのかな。だとしたら、どうしてここへ来るんだろう。宮凪くんの家とは反対方向で、通り道でもないのに。

「冴えねぇ顔。学校でなんかあった?」

 棒付きの飴を咥えながら、ははっと笑みをこぼして、こっちへ歩いてくる。
 からかうような声色に、少しだけムッとして。

「……なにも、なかった」

 人の気持ちも知らないで。楽しそうにする宮凪くんを避けて、ブランコへ座った。
 軽いステップを踏むように、宮凪くんが隣のブランコへ飛び乗る。

「まあー、そう簡単に変われたら悩まねぇよな。人間あきらめも必要だぞ」

 他人事だからって……そう思う反面、その通りだと頷く自分もいたりする。

 真木さんと話せなくても、困るわけじゃない。それに、迷惑そうな顔をされたら、それこそ立ち直れない。
 このままクラスで孤立していても、卒業は勝手に近付いてくるから。

 交互に揺れるブランコは、それぞれ前を向いて動いている。平行線のまま、触れ合うことはない。きっと、私の人生もそんな感じで終わるんだろう。

「それは勇気出して、頑張った奴だけが言えることだけどな」
「……えっ?」
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