初恋ラストレター

満ち欠けの夢

 雨の日が続いて、一週間ぶりに公園へ向かった。この前借りたランニングシューズを入れた紙袋を手にして、海賊船の前に立つ。

 悩んだけど、ネットで調べた方法で洗って陰干しした。素足で履いてしまったし、気付かない匂いがしていたら嫌だから。

 少しして、フードを被った宮凪くんがやって来た。今日は学ランを着ているから、ちゃんと学校へ行っていたみたい。

「元気だった? って言っても、たかが一週間か」

 ハハッと軽く笑う宮凪くんとは対称的に、私は神妙な面持ち。

「すごく長く感じた」

 言ったあとで、ハッとなる。これでは、待ち焦がれていたと告白しているようなもの。
「靴を返せなかったから」と慌てて付け加えると、宮凪くんは目を三日月にしてはいはいと笑った。

 近寄りがたい見た目からは、想像のつかない可愛らしさ。キュッと胸が締め付けられるのは、それだけが理由じゃない。


 青い光の正体を、知ってしまったから。

 あの後、なんとなくスマホで検索してみたけど、それらしい情報は出てこなかった。ただ、人間は普段から光を発しているらしい。

 細胞が活発になるとより強くなり、それは機械を使わなけば目には見えない。

 もっとも光を放つのは、細胞の病気にかかっている時。だけど、海ホタルのように青く光る現象は出てこなかった。


 もし、宮凪くんの特殊能力が珍しい病気だったら──。
< 27 / 97 >

この作品をシェア

pagetop