初恋ラストレター
「俺、ずっと迷ってたんだ。あの人たちといること」

 よっと上半身を起こすと、宮凪くんは海賊船から降りた。

「でも、やっと目が覚めた。蛍が来てくれて、俺の居場所はここじゃねぇって吹っ切れた」

 さわさわと風でなびく髪が、頬の色を隠す。散りばめられた光は、水が乾いたところでも消えることなく輝いている。

 宮凪くんを侮辱するような態度が、許せなかった。投げ掛けた言葉も、視線の全てが仲間とは思えない振る舞いで。
 あの時の宮凪くんは、まるで〝モノ〟みたいだった。

「俺、去年の途中まで入院してたんだ。あんま学校行ってなかったから、話す相手もいねぇし。あの人らといる時だけ、気が紛れたっつうか、現実から遠ざかれたんだよな」

 声を掛けられて、なんとなく顔を出すようになった。一人でいるよりも楽で、神経をすり減らすような毎日よりマシだと言い聞かせて。

 吸いたくない煙草を咥えさせられて、危ないことも強要されたらしい。染まっていたら、仲間として認められる。自分の存在は肯定される。

 抜け出せなくなっていた時、たまたま見つけたこの公園へ通うようになったと言う。

「……蛍に、話しておきたいことがあるんだ」

 不安そうな空気が伝わったのか、なにか考えるようにしゃがみ込んだ宮凪くんが、手招きする。
 私が隣に並ぶと、落ちていた小枝で地面になにかを書き出した。
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