初恋ラストレター
薄暗い街の中。駅を出ると、空にネオンが飛び交っている。
騒がしい音が私たちを包み込むけど、どちらも何も話さない。並んで歩きながら、緊張の手汗が止まらない。
どうしよう。気まずい空気が流れている。
何か話した方がいいよね。でも、なんの話題を出したらいいの。
「……さっきは、お互いさまとか、なんかカッコつけた事言ったけど。ほんとはちょっと嫌だったんだ」
「え?」
静かに口を開いた宮凪くんを見る。
目が合って、ドキッとした。
「蛍が、他の奴に囲まれてるの。だから、邪魔した」
頬が赤く見えるのは、きっと外の灯りのせいだ。
なんと返したらいいのか分からず、私は相づちを打つだけ。
「ありがとう」は自意識過剰な気がする。かと言って「そうなんだ」も人事というか、違う。
まともに顔を見れなくなって、うつむいてしまった。感じ悪かったかな。
そのとき、楽器の音が聞こえてきた。
少し先で、女の人がピアノを弾いている。空に響き渡る歌声が、とても澄んでいてキレイ。
弾き語りをしているらしい。
こんな素敵な声だったら、合唱コンクールなんて自信満々で参加できるのに。
行き交う人は、誰も足を止めない。駅の近くにいるのは、仕事帰りとか、予定がある忙しい人ばかりだから。
私たちも前を通り過ぎていく。まるでその人は、写真の中の風景みたい。
「……!」
宮凪くんの足が止まった。一歩下がって、引き寄せられるように、歌う人の前に立つ。
その横顔を見つめながら、耳を澄ませた。
騒がしい音が私たちを包み込むけど、どちらも何も話さない。並んで歩きながら、緊張の手汗が止まらない。
どうしよう。気まずい空気が流れている。
何か話した方がいいよね。でも、なんの話題を出したらいいの。
「……さっきは、お互いさまとか、なんかカッコつけた事言ったけど。ほんとはちょっと嫌だったんだ」
「え?」
静かに口を開いた宮凪くんを見る。
目が合って、ドキッとした。
「蛍が、他の奴に囲まれてるの。だから、邪魔した」
頬が赤く見えるのは、きっと外の灯りのせいだ。
なんと返したらいいのか分からず、私は相づちを打つだけ。
「ありがとう」は自意識過剰な気がする。かと言って「そうなんだ」も人事というか、違う。
まともに顔を見れなくなって、うつむいてしまった。感じ悪かったかな。
そのとき、楽器の音が聞こえてきた。
少し先で、女の人がピアノを弾いている。空に響き渡る歌声が、とても澄んでいてキレイ。
弾き語りをしているらしい。
こんな素敵な声だったら、合唱コンクールなんて自信満々で参加できるのに。
行き交う人は、誰も足を止めない。駅の近くにいるのは、仕事帰りとか、予定がある忙しい人ばかりだから。
私たちも前を通り過ぎていく。まるでその人は、写真の中の風景みたい。
「……!」
宮凪くんの足が止まった。一歩下がって、引き寄せられるように、歌う人の前に立つ。
その横顔を見つめながら、耳を澄ませた。