雪のとなりに、春。
今会えないのはもちろん悲しいけれど、それよりも、何よりも。

雪杜くんが何か隠してるのは知っているし、1番に話してくれるって言うから待ってたのに。

どうして隠し事するの?
私が子供だから?
私が頼りないから?


『奈冷、どうしたの?』

「!?」


機械越しでいつもより荒く聞こえた、でも知ってる声に目を見開く。


「――奏雨、ちゃん……?」

『あら花暖先輩じゃない。奈冷、入れてあげないの?』

『っ、いいからお前は黙ってろって、』

「え……」


今のやりとりを聞いて、雪杜くんが私に事情を話せない理由がなんとなく分かった気がする。

だって今、とっても混乱しているから。
バカみたいに立ち尽くしてしまっているから。

雪杜くんは私がこうなることを知っていたから、きっとゆっくり話せるタイミングを見てくれていたんだろうと思う。


私は、気付いてしまった。

今雪杜くんの隣にいるのは、奏雨ちゃんじゃない。


「雪杜くん、私は大丈夫だから、お願いだから中に入れて!!」

『え、でも』

「大丈夫!! 全然分かんないけどなんとなく分かったから!!」


< 119 / 246 >

この作品をシェア

pagetop