雪のとなりに、春。
***

週末までの時間なんて、あっという間だった。

迷いに迷って、ワンピースを着てみた。


「準備はいいかお前ら」


雪杜くんの家の近くで、環くんと信濃くんと合流した。

この数日間、雪杜くんにこの作戦がバレないようにするの、すごく大変だった……。
帰り道に「先輩、なにか企んでない?」と聞かれたときはどうなることかと思ったよ。


「はい、隊長!!」

「なんで環が隊長なんだよ」

「ではまずは奈冷の家の周りの確認からだ!!」

「はい!! これといって変わった様子はありません!!」


相変わらず大きなお家だ。
ここに1人で住んでるなんて、寂しくないのかなあ。

……そういえば、雪杜くんの家の事情とか全然聞いたことなかったかも。

お父さんやお母さんは、どうしてるんだろう。
きょうだいとかいるのかな。


「周囲の確認終了、いよいよ突撃する!!」


すっかりノリノリになっている環くんのかけ声に合わせて、私たちは雪杜くんの家の前に横一列に並んだ。


「では統河、インターホンを鳴らせ」

「俺かよ。そこは隊長行けよ」

「隊長命令だ」


不服そうに信濃くんがインターホンへと手を伸ばす。

< 13 / 246 >

この作品をシェア

pagetop