雪のとなりに、春。
***

「なーんであんなになっがいのよ、こっちはあんなにわかりやすく説明してるってゆーのにさ」

「仕方ないだろ、皐月が事故の目撃者だったんだから」

「はー汗かいた。ナツメ風呂貸せよ」

「いつも許可とる前に使うくせに」


そんな会話をしながら状況説明を終えた2人が戻ってくる。


「お、お疲れ様!!」


2人に駆け寄ると、雪杜くんは微笑んでこくんと頷く。
そして、なんと両手を広げて私を抱きしめてくれた。


「え、え!? ゆゆゆ、雪杜くん!?」


そんな、隣に皐月さんがいるのに、こんな。
普段「公共の場だから」とか言って全然くっつかせてくれない雪杜くんが。

そんなに疲れちゃったの!? いや、当たり前か!?
こんなの普通経験しないもんね!?


「あ、あの……」

「――さむい」


首元で囁かれた言葉に、ハッとする。

雪杜くんから伝わる体温が異常に高い。
それに抱きしめるというよりかは、寄りかかってきていると言った方が正しい。
おかげで後ろに倒れそうになるのを必死に耐えている。


「雪杜くん、もしかして……っ」

「そーそー」


< 135 / 246 >

この作品をシェア

pagetop