雪のとなりに、春。
隣にいた皐月さんが私と雪杜くんの間に入って来て、そのままひょいっと雪杜くんをおんぶしてくれた。


「こいつ昨日から熱あんの。うわ軽ぅ~いムカつく~~~」

「!?!?」


この人は

なにを

真顔で

言っているの???


「ね、熱!?」


しかも昨日からって……。

もしかして今日休んだのは、その熱のせい?
どうしよう、全然気付かなかった。

いつも冷たい雪杜くんの手が熱を持っていた時に気付くべきだったのに。


「雪杜くん、そんな熱で動いてたってこと……?」

「そーゆーコト。ほらカノチャン、こいつのポッケから鍵出して、開けてくれる? パーカーの方ね」

「は、はいっ」


ぐるぐると考えているうちに、雪杜くんの家についてしまっていたようだ。

私は言われるがまま雪杜くんのパーカーのポケットから鍵を取り出して、玄関の鍵を開ける。

皐月さんが入りやすいように玄関のドアをなるべく大きく開けて、スペースを確保。

「ナイス~」と言いながら玄関に入っていく皐月さんの動きに合わせて、雪杜くんの履いているスニーカーをスポッと脱がせた。


「ナツメの部屋行くよー」

「はいっ!!」


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