雪のとなりに、春。
指示に従うように元気よく返事をして、雪杜くんの部屋のドアを開ける。

皐月さんが雪杜くんを背負ったままベッドに腰掛けて、そのままごろりと雪杜くんの体を寝かせた。


「よし、次は着替えだ。カノチャンGO!!」

「はい!!……えっ!?」

「エ、じゃないでしょ。こんなに汗かいてるんだから着替えさせるよー」

「で、でも、それなら皐月さんがっ」

「だってオレお風呂使うもんさー」

「ええっ!!」


着替えって、そんな、まさか、着替えってつまりその。
服を脱がせて、新しい服を着せるというあの……!?

ベッドで横たわる雪杜くんへチラッと視線を移す。


「……ぅ、……はあ……」

「っ」


眩暈(めまい)がした。


「カノチャン、もしかして今エッチなこと考えてる?」

「どっちかというと雪杜くんの謎の色気にヤラレマシタ」


いけないいけない。
大切な人が熱でうなされているというのに私ったら。
そう、雪杜くんは今苦しんでるんだ。


「や、やります!!」

「お、じゃああとはよろしくね」

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