雪のとなりに、春。
6.5 めちゃくちゃ反抗期じゃん
*奏雨side*
「……」
「……」
昼休みはいつも1人で過ごしていた。
こんな性格だもの、誰も私に寄りついたりなんかしない。
その割に、子供の頃から感じている鬱陶しい視線だけはどこに行っても変わらない。
話しかけては来ないけれど、遠くから羨望や好奇の目で向けられるだけ。
そんな周りのことなんておかまいなしに、自分の席から移動することなく今日も自分で作ったお弁当を広げて黙々と食べる。
……はずだったのに。
「……ちょっと」
「ん?」
「なんであなたがわたしの机の前にいるわけ?」
茶色く染められた長めの髪の毛間から覗く瞳が優しく揺れる。
彼の姿に見覚えがないわけではなかったし、名前を聞いて確信した。
たしかこの辺りで何度か個展を開いていたはずだ。
そのせいもあって、今日はいつにも増して周りからの視線が痛い。
とてもやっかいだわ……。
「今日、3年生は午前で終わりだから。奏雨に会いに来た」
「全くもって理由になってないわ。さっさと帰ったらいいじゃないの」
この間からやたらと話しかけられるから、迂闊に奈冷に近づけない。
昨日だって家の近くまで送るとか言って本当に着いて来るんだもの。頼んでもいないのに迷惑だわ。
聞けば、小日向花暖の幼なじみらしいじゃない。
おおかた奈冷にとられたってところなんでしょう。