雪のとなりに、春。
「皐月さんって、本当は雪杜くんのこと好きなんじゃないの?」

「……カノチャンってさ、天然いじめっこ? さっきからドSすぎない?」


でも、嫌いなら放っておけばいい。
嫌いなら、関わらなければいい。

さっきの事故の対応力や判断力を見る限り、よっぽど頭もいいんだろうなと思う。
そんな人がこんな、私でもわかる簡単なことがわからないわけがない。

頭のいい人が考えることなんて、私には到底わからないんだろうけど。


「あと、『その2 は解決した』ってどういう意味だったの? その1があるってことだし、その先もあるの?」

「そういう探究心ってボク必要なことだと思うけどちょっと聞きすぎじゃない??」

「だって今しか聞けないでしょ! 皐月さんのこと、もっと知らなきゃいけないような気がするの!!」


皐月さんは心底めんどくさそうに髪の毛をぐしゃりと握る。
それから、ゆらりと口角が上がった。
大きな八重歯が見えて、吸血鬼がいたらこんな感じなのだろうかと思ってしまう。


「へえ、ナツメよりオレのこと気になるとか、カノチャンも見る目あるねー」

「な……っ、そんなことないよ!! 私はただ」


細長い人差し指が、リビングの外を差した。


「だって、熱でうなされてるナツメ放っておいてオレと話してるじゃん」

「!!!!!」


そうだ!
完全に忘れてた!!!
わ、私ったら!!

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