雪のとなりに、春。
***

ということで、まずはおかゆを作ってみた。
小さい頃にお母さんが作ってくれたのと同じたまごがゆ。

少し作り過ぎちゃった気がしたけど、大丈夫かな。


「雪杜くん、おかゆをつくってみました……」


私に気付いた雪杜くんは、むくりと上体を起こしたあと、とろんとした瞳で私の作ったお粥を見つめている。

あ、あーんとかした方がいいかな……!?
フーフーしてあげた方がいいかな……!?


「いただきます」


私がひとりでソワソワしている間に、雪杜くんはひと口ぱくり。

そ、そうだよね、子供じゃあるまいし余計なお世話でしたよね!!
こんなことですら浮かれている自分が恥ずかしくて下を向くと、隣から「おいしい」と言う声。


「っ!!?」


顔を上げて雪杜くんを見る。

少し口角を上げて、また頬張った。
それから私の視線にやっと気づいて、不機嫌そうに視線を戻される。


「……なに、食べてるとこ、ジロジロ見ないでくれる」

「いま、美味しいって……」

「言ったけど、それがなに」

「う、ううん!! 嬉しくて…」


ただでさえ火照った顔をさらに赤くして、「あ、そ」と呟いた。

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