雪のとなりに、春。
「落ち込んだり喜んだり、ほんとにジェットコースターみたいな人だね」


くすっと優しく笑うから、きゅんっと胸がかわいらしい音をたてる。
潤んだ瞳と火照った雰囲気による色っぽさも相まって、雪杜くんが雪杜くんじゃないみたい。


「……じゃあ少し寝る。先輩はリビングでゆっくりしてて」

「ゆ、雪杜くんのそばにいるよっ」

「……好きにしたら」


布団に潜り込んだ雪杜くんは、私に背中を向けるようにして横になってしまった。


「……」


少しして寝息が聞こえてくるけど、やっぱり苦しそう。

食欲もあるし、普通に話せるし、大丈夫そうだなあと安心してはいたけれど。
呼吸は荒いし、立ち上がって顔を覗き込めば表情は歪んでいる。

やっぱり無理していたのかもしれない。
もしくは、熱が上がってきた……?


「……は、はあ……」

「…………」


熱で苦しんでいるというのにそんな雪杜くんの姿がまた色っぽくてドキドキしてしまう。

好きな人が弱ってる姿って、なんでこんなにキュンキュンするんだろう。

よくないのはわかってるけど……雪杜くんのこんな姿見ることがないから、なんだろう、どうしよう。
……お、襲ってしまわないか不安になる!!!


「ま、まずは食器洗ってこなくちゃ、いや、冷やタオルが先かな!?」


雪杜くんを起こさないようになるべく静かにリビングへ向かって、食器を下げた後に桶に水をためた。
使っても良さそうなタオルを手に取って、もう一度雪杜くんのお部屋へ。

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