雪のとなりに、春。
目の前のテーブルに置かれたままの紙袋をばっと手に取り、中身を確認する。

……うん、少し形は崩れてしまっているけど、大丈夫そう!!

もう一度雪杜くんに視線を戻せば、こてんと首を傾げて優しく目を細められる。
そんな彼の表情にいちいちときめきながらも、雪杜くんの隣に腰を下ろした。


「あ、あの」


まず紙袋から取り出したのは、店員さんにも手伝ってもらいながら頑張って作ったフラワーアレンジメント。
なんだか恥ずかしくなって、雪杜くんの反応を見ないままテーブルの上にそっと置いた。

透明感があって、でもちゃんと明るい気持ちになれるような。
店員さんにそう話して、鮮やかなブルーとホワイトを基調にしたアレンジメントになった。


「これ、先輩が作ってくれたの?」


ソファーから身を乗り出すようにして、アレンジメントを覗きこむ雪杜くん。
あんまり見られると余計に恥ずかしくなって、少し体温が上がる。


「うん……だいたいは店員さんが土台を作ってくれて、あとは私が選んだお花を添えた感じなんだけど……」

「……」


まじまじと見つめたあと、雪杜くんの表情が優しくほころんだ。


「……あ、あと、これも……っ」


どうにも恥ずかしくなってしまって、すぐに次のプレゼントを袋から取り出す。

フラワーアレンジメントよりも一回り小さい花束。
主なお花は母の日に大活躍するカーネーション。

色は、ピンクとホワイトのガーベラをメインにして、差し色として1本だけ青いカーネーションを入れてみた。


雪杜くんはいつもより目を大きく開けたまま、花束を受け取ってくれた。

ため込んでいた空気を一気に吐き出してそれから雪杜くんを真っ直ぐ見る。

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