雪のとなりに、春。
びくりと肩を震わせた雪杜くんが私を見て、眉間にシワを寄せる。


「……なに」

「雪杜くん、皐月さんから伝言!!」

「……は?」


明らかに嫌そうな顔をされる。
本当に、お互いがお互いを好きじゃないんだなあ。


「あのね、『その2はなくなったよ、ヨカッタネ』だって!」

「……その2……」


顎に綺麗な手を当てて少し考えてから、ふうと小さくため息をつく。


「うん、わかった。ありがと」

「え、教えてくれないの?」


「別に」と呟いた雪杜くんはムッとしたままソファーに戻ってきた。
隣に腰掛ければ、シャンプーのいい匂いが鼻をかすめる。


「俺と皐月の問題。というか、皐月の問題」

「……私思うんだけど、皐月さんって実は雪杜くんのこと好きなんじゃないのかなあ?」

「…………」


あ、頭抱えちゃった。
「なんでそう思うの」と隣から声だけが聞こえてくる。


「だって、本当に嫌いなら関わらないんじゃないかなあ……。頭がいい人ならよっぽど、嫌いな人に関わろうとしないと思うんだよね」

「…………」

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