雪のとなりに、春。
体育座りをして、目だけ私の方を見てくる。
子供みたいでかわいい。


「きっと、よっぽど雪杜くんが羨ましいか、仲良くなりたいんじゃない?」


かわいくてつい口角がゆるゆると上がってしまう。
今浮かべている笑顔は、きっと気持ち悪いことになっているんだろうなあ。


「そんなこと、考えたこともなかったし、考えたくない」


また腕の中に顔を埋めて、少しして「ううう」と唸り声が聞こえてくる。
こんな雪杜くんを見るのは初めてで、年下だということを思い出した。

普段大人っぽくてかっこいいから忘れてしまうんだけど、雪杜くんは私のひとつ年下。

きゅうんと胸が締め付けられて思わず抱きついた。


「うわっ、なに!?」

「だいすき~!!」

「ほんと、急にこういうことするのやめて……」

「っ」


雪杜くんの顔がバッと上げられて、お互いの鼻が当たる。

思いの外距離が近くて息が止まった。
抱きついたので、当たり前なんだけども。

雪杜くんの熱気が伝わってきて、そういえばまだ微熱があったことを思い出す。


「雪杜くん……そろそろ休まなきゃ」

「うん」


こつんと額が当てられる。やっぱり少し熱い。

右手が私の後頭部に回されて、少し身体に力が入った。


ガラリと変わった雰囲気に呑まれる。

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