雪のとなりに、春。
雪杜くんの眉間に寄せられるシワがどんどん深くなっていく。
どうやら求められていた答えとは違っていたみたいだ。


「……っ、こ、婚約者とか言われたんだよ!? それに対して、なんとも思わないのかって聞いてるんだけど!!」

「だ、だってそれは違うって雪杜くんが……」

「それは、そう、だけど……ど、どういう関係なのかとか」

「それも雪杜くんが『従妹です』って言ってたよ……?」

「………うん、言った」


えええ?
どうしてそんな、すべて諦めたような表情するの!?


「や、やだ、ごめんね雪杜くん、私、ええ、そんな顔しないでよっ!!」


雪杜くんに機嫌を直してもらいたくて。
でもどうしたらいいのかわからないから、腕の中でわたわた。


「……もういい」

「むぐっ」


急にぎゅっとされるから、変な声が出てしまった。
そうだった、と優しい声が降ってくる。


「先輩はそういう人だったね」


申し訳ないけど当の本人全然分かっておりませんが!!
なんならこの状況にラッキーとか思っちゃっておりますが!!

明日は日曜日だしこのままお泊まり!? みたいな流れになってくれてもいいんだけどな!?


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