雪のとなりに、春。
「先輩は本当にすごい人だね」

「へ……っ!?」


ちゃっかりお泊まりルートを狙ってることまでバレたのかと思って、声が見事にひっくり返った。


「一瞬で、こんなに安心させてくれる」


きゅうっと、抱きしめる手に優しい力が加わる。
力は強いはずなのに苦しくないのが不思議。


「……不安、だったの……?」

「ううん、俺がまだ子供なだけ」

「ふふ、よしよし」


本当は頭を撫でてあげたいけど、届かないので背中を優しく撫でる。
すると体がまた少しだけ離されてしまった。

チャンス!!


「だからって、子供扱いしていいとは言ってないから」

「子供扱いしてるわけじゃないもん!!」

「頭撫でないで!!」


手首をつかまれ、ふわふわサラサラの髪の毛から離されてしまう。


「……っ」


雪杜くんの、手が。

私の手首からするりと撫でるように移動して。
雪杜くんの指が絡むように間に入ってきて、きゅっと握られた。


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