雪のとなりに、春。
「雪杜くん……?」


間違いなく今の私の顔はハバネロくらい赤くなっているだろう。
だってこんなにも熱い。

ああ、体まで熱くなってきた。


「……今度は、俺の番」


私の手で遊ぶみたいに指を絡めたり離したり。
それをじっと見つめてから、やっと私のほうを見た。


「先輩、不安なこと教えて。抱きしめてる間に考えてみたけど、わかんなかった」

「え……?」


やっぱり雪杜くん、さっき環くんが言ってたこと気にしてるんだ。
もう、急に嘘つくなんて聞いてないよ隊長。


「あの、環くんが言ってたのは本当に嘘だよ? 雪杜くん、やっぱりそれ気にして……」

「でも、トーガ先輩の言ってたことは本当でしょ? あの人嘘つける人じゃないし、なんとなく本当ってわかった」

「えう……」


反対の空いてる方の手が、壊れ物に触れるみたいに頬を撫でてくる。
雪杜くんの額が私の額にこつんと当てられる。

私の熱気なんて、とっくに伝わってるんだろうな。

恥ずかしいけど目は逸らせない、し、なんなら雪杜くんの甘い視線にくらくらして体の力が抜けていく。

お酒はもちろん飲んだことはないけど、酔ったらこんな感覚なんだろうか。
くらくらして、ふわふわして、目の前にいる好きな人のこと以外なにも考えられないの。

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