雪のとなりに、春。
10 きみのとなり。
球場から外に出た途端、蝉の声で周りの声なんてよく聞こえない。
周りの声なんて全部かき消される。
「うっ……うぇ、うう、うっ……」
「カノ、蝉よりうるさい」
「ほんと、いつまで泣いてんの先輩」
「ちょっとはなの!! そんなにこすったら腫れるって!!」
あれから勉強で忙しい毎日を過ごしていたら、あっという間に夏が来てしまった。
みんなとこうして集合するのはすごく久しぶり。
その中で、勉強意外のことに力を注いできた人がひとりいた。
「いやー負けたわー……ってカノ!? 泣きすぎじゃね!?」
「しっ、しなのくん……っうう、お、おつかれさまあ……!!」
実は今日、信濃くんがずっと頑張ってきたサッカーの大会の応援にみんなで来ていた。
全国から競合が集まってきて、今日試合をした学校はたった二校。
そのうちの一校が、うちの高校だ。
「ありがとうっつか、いや……泣きすぎじゃね?」
「ううう~……」
ミーティングを終わらせて着替え終わった信濃くんは、泣きじゃくる私をみておかしそうに笑う。
それから、まだ湿った髪の毛を首にかけてあるタオルでがしがしと拭いた。
「おしかったな、統河」
「とりあえずはお疲れ様です」
そんな信濃くんに、環くんと雪杜くんが近づいて。
ふたり同時に背中で隠していた缶ジュースを信濃くんの顔に押し当てた。
信濃くんの叫び声が辺りに響き渡る。
周りの声なんて全部かき消される。
「うっ……うぇ、うう、うっ……」
「カノ、蝉よりうるさい」
「ほんと、いつまで泣いてんの先輩」
「ちょっとはなの!! そんなにこすったら腫れるって!!」
あれから勉強で忙しい毎日を過ごしていたら、あっという間に夏が来てしまった。
みんなとこうして集合するのはすごく久しぶり。
その中で、勉強意外のことに力を注いできた人がひとりいた。
「いやー負けたわー……ってカノ!? 泣きすぎじゃね!?」
「しっ、しなのくん……っうう、お、おつかれさまあ……!!」
実は今日、信濃くんがずっと頑張ってきたサッカーの大会の応援にみんなで来ていた。
全国から競合が集まってきて、今日試合をした学校はたった二校。
そのうちの一校が、うちの高校だ。
「ありがとうっつか、いや……泣きすぎじゃね?」
「ううう~……」
ミーティングを終わらせて着替え終わった信濃くんは、泣きじゃくる私をみておかしそうに笑う。
それから、まだ湿った髪の毛を首にかけてあるタオルでがしがしと拭いた。
「おしかったな、統河」
「とりあえずはお疲れ様です」
そんな信濃くんに、環くんと雪杜くんが近づいて。
ふたり同時に背中で隠していた缶ジュースを信濃くんの顔に押し当てた。
信濃くんの叫び声が辺りに響き渡る。