雪のとなりに、春。
皐月さんと雪杜くんの関係は、雪杜くんの態度を見ている限り良くなったわけではなさそうだけれど、前より険悪になることもなさそうなのでひとまずは安心してる。


「おかげで統河の応援も無事に来られたし、よかったよな」

「そういうタマキ先輩は、順調そうですか? 作品作り」


「作品作り」の部分をわざと強調するように話した雪杜くんは、顎をあげて挑発するように環くんを見た。
対して環くんは、まったく気にすることなく、「もち」と笑顔でピースしてみせる。

……この2人の仲の良さは相変わらずで、また私の知らない話をしていることにも慣れたと思っていたけどどうしてもジトッと環くんを睨んでしまう。

環くんのことだ。
どうせまた作品作りに生かせそうな人を見つけたんだろう。


「統河もそろそろ本腰入れて勉強しなきゃじゃん。ガンバー」


食べ終わったアイスのカラを信濃くんに向かってひらひらとなびかせる萌ちゃん。
「うぐっ」なんて声がして、さっきまで悪態を吐いていた対象に向き直ってへらっと笑った。


「ユキメ後輩~」

「『引退したら頑張る』んでしたよね? 応援してますよ」

「くれよ慈悲!!」


信濃くんと雪杜くんは、仲がいいのか悪いのか。
……最初に比べたら、いい方なのかな?


「ま、なんにせよ!!」


突然立ち上がった萌ちゃんがパンッと両手を合わせたことで、みんなの視線が萌ちゃんに集められた。


「このまま遊園地、いっちゃおーよ!! 本当は祝勝会のつもりだったけど、これからみんなでがんばろーてきな、さ!!」

「……俺、このあと予定が」

「却下!!」

< 241 / 246 >

この作品をシェア

pagetop