雪のとなりに、春。
「ちょっと、受験票は持ったんでしょうね!? 分かってると思うけど学生証も必要なんだからね!?」


「奏雨、焦りすぎ」


「奈冷こそよくそんなに冷静でいられるわね……って、なに笑ってるのよ!」


「ごめん、奏雨がこんなに声を荒げるなんて、新鮮で」


「もうっ!! わたしは心配で……って、わたしのことはいいのよ!! 持ち物チェックは入念に!!」


「あ、教科書は持たなくていいと思う。かえって緊張するだろうし」


「た、たしかにそうね!」


「先輩ならそのお守りがあればじゅーぶんでしょ」


「……ほ、ほんとうにだいじょうぶなのよね……そ、そうだ。忘れ物あったらすぐに連絡よこしなさいよ? なんとか届けるから……」



トントンとつま先をリズムよく床につける。



「……大丈夫そうだね」



その声に振り返って、目を細めた。




「ありがとう2人とも。行ってきます!!」




Fin.
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