雪のとなりに、春。
3 元気、出た?
「……あれ?」


教室の前に、萌ちゃんと乃奈香ちゃん……そしてなんと、奏雨ちゃんが立っていた。
いったいどうしたんだろう?
不思議に思って駆け寄ると、先に気付いた2人が困ったような表情を私に向けてくる。


「あ、はなの」

「カノちゃん、おはよう」

「2人ともおはよう!!」

「カノ、この子と知り合い? さっきから『小日向花暖を出せ』の一点張りでさ」

「私?」


まあ、それもそうか……。
奏雨ちゃんは雪杜くんの婚約者、えーっと、この場合なんて言ったらいいんだろう。
普通に従妹って紹介しちゃってもいいのかな。


「あのね2人とも、この子は雪杜奏雨ちゃん。雪杜くんの従妹で……」

「雪杜!?」


萌ちゃんが驚いたように奏雨ちゃんを見つめる。
奏雨ちゃんはそんなことなんてお構いなしに、私に鋭い視線を送ってきていた。

他にも説明したいことはたくさんあるけど、本人を目の前にするとさすがに言葉を選ばなくちゃいけないし、私には難しすぎる。


「ちょっと、雪杜はなにしてんのよ!!」

「さっき2年生の教室の前で別れたけど」

「そういう話じゃないのよはなの」
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