雪のとなりに、春。
雪杜くんが婚約者じゃないと言っていることは奏雨ちゃんも分かってるし、別に気にせず2人に話せばいいことなんだろうけど。
どうしても気が引けてしまう。

それに、雪杜くんのお家のことならなおさら何も知らない私が口を出すわけにいかない……気がする。

お泊まりの時に雪杜くんのお家事情を詳しく教えてもらおうと思ってたけど、一緒に実力テストの勉強をしていたら覚えることに必死で結局何も聞けずに終わっちゃったんだよね……。


「あなた、奈冷とどこまでいったのよ」

「えっ!?」

「知ってるのよ、奈冷の家に泊まったんでしょ」

「「ええっ!?」」


萌ちゃんと乃奈香ちゃんの視線が同時に私に向けられる。

もう、それも全部これから2人に話そうと思ってたのに~!!
奏雨ちゃんにとって重要なことなんだろうけど、せめて私と2人の時に聞いてくれると嬉しいんだけどなあ。もちろん私も、奏雨ちゃんに聞きたいことたくさんあるし。


「え、っと……唐揚げをつくって、テスト勉強見てもらいました……」


あとキス……は、言わなくてもいいよね?


「笑わせないで。キスくらいしたんでしょう」


リン……と風鈴のように透き通った綺麗な声に若干圧倒されてしまう。


「う……っ」


奏雨ちゃん、こんなに綺麗な顔してるのに結構容赦ないな……。
雪杜くんを好きな者同士、ライバルとして私も負けないようにしなくちゃ!!


「し、し、してもらいました!!」

「言い方」


萌ちゃんに軽く突っ込まれる。
そんなの気にしないというように交わり続ける私と奏雨ちゃんの視線に、バチバチと火花が散り始めた。

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