雪のとなりに、春。
「へ、へえ~!! なかなかやるじゃない。わたしなんて一緒にお風呂に入ったことあるけど、それはどうなのよ」

「な……っ、そ、それは……」

「そのまま一緒のベッドで寝るのがお決まりだったわねえ、奈冷ったら結構さみしがり屋で甘えたなところあるから」

「ぐぬぬ……うらやましい……!!」


まずい。
奏雨ちゃんの方がかなり上手(うわて)だ。
というか普通にうらやましがっちゃってるけど、従妹って一緒にお風呂に入ったり一緒に寝たりするものなの!?


「今回はわたしの勝ちのようね」

「悔しい……っじゃなくて違う待って!!」


そうだよ違うよ。
私は奏雨ちゃんとこんな言い合いをしたかったんじゃない。


「奏雨ちゃん、私とお友達になってくれないかな?」

「……は?」

「雪杜くんのお話たくさん聞かせて欲しいなって。あと純粋に奏雨ちゃんともっと話がしたいんだ、私。雪杜くんもきっと、こういうの望んでないと思うし……」


奏雨ちゃんの笑顔がぱっと消えて、綺麗なガラス玉のような瞳をぱちくりさせる。
そんなあからさまに「ありえない」みたいな表情されると少し傷つくなあ……。


「わたしと小日向花暖が、友達?」

「う、うん……だめ、かな?」

「……」


何かを考えているのか、まっすぐ私を見つめていた視線が下に落ちる。
……それから口角がニッと上がってゆらりと笑った。
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