雪のとなりに、春。
席に着くと、これまた心配そうな環くんと信濃くん。
ここまで騒ぎが聞こえてきていたみたいだ。


「あ……おはよう2人とも」

「カノ、おはよ」

「おはよ」

「信濃くん、今日朝練ないんだ?」

「あーうん、大会近いし調整入れるから、これから朝練はなくなるっぽい」

「そっか、高校最後の大会だね、頑張ってね」

「ありがと」


明るい話題。
なにか、楽しい話題。

2人は奏雨ちゃんのことも知っているからか、何も聞かないでいてくれてる。

だからせめて関係ない楽しいことを話して、これ以上気を遣わせないようにしたいのに。
今までは、それができていたのに。

だめだ、油断すると泣きそうになる。
私、いつからこんなに弱くなっちゃったんだろう。


「……カノ」


隣から名前を呼ばれて、ほっとする。
何か話題でもあるんですか隊長。
この重苦しい雰囲気をなんとかしてくれるんですか、隊長。


「お前、今日2日目だろ」

「え」

「おい環!?」


信濃くんはあからさまに顔を赤く染めて、身に覚えのない私は首を傾げる。

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