雪のとなりに、春。
「ったく、お前は昔っからそういうの我慢するからな。しかたねえ、保健室連れてってやる。行くぞ」

「え、あの、環くん……?」

「ほら、立てるか?」

「ええっと……うん……?」


環くんが立ち上がる私の腰に手を回して、大げさに支えてくれる。
2日目……ってなんのことだろう?


「か、カノ大丈夫か? こういう時どうしたら、そ、そうだ身体、身体冷やさないようにしてそれから……」

「統河。悪いけど俺が戻る前に先生来たら、伝えといてくれ」

「わかった!!」


環くんに支えられながら教室を出る。
途中、気付いた萌ちゃんと乃奈香ちゃんが心配そうに声をかけてくれたけど、「大丈夫」と笑ってなんとか誤魔化した。
……誤魔化せてるわけがないんだけれども。


「統河は本当に単純で助かるわー」


保健室に向かって歩いている途中、そんなことをこぼすから。
そろそろいいのかと思って私も口を開く。


「環くん、本当に保健室に行くの? 私、身体なんともないよ?」

「ばかたれ。そーんな今にも泣きそうな顔してる奴が隣にいたら、俺が授業に集中できないのー」

「……」


そうやって、わざと私が「自分のせいだ」って思わないような言い方をしてくれる。
ごめんね。頑張るって決めたのに、結局環くんに助けてもらっちゃってる。

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