雪のとなりに、春。
――奏雨とはそれっきりだった。
会うのは実に3年ぶりだというのに、状況が飲み込めなくてうまく言葉が出てこない。
「なん、で。あんなに頑張ってたのに、なんでこっちの高校に……」
「奈冷に会いに来たのよ。婚約者としてね」
「……は?」
次々とわき出てくる情報を整理しきれない。
婚約、と言われたって全く身に覚えがない。
第一俺と奏雨はそんな関係じゃなかったはずだ。
奏雨はただ暗く怪しげな笑顔を向けてくるのみで、詳しい説明なんて全然してくれない。
「ひどい奈冷。わたしと会わない間にどうして彼女なんて作っちゃったの?」
「え」
「……確か名前は、小日向花暖」
小さい頃は、奏雨の声を風鈴のようだと思っていたこともあった。
その声が今ではやけに低く響く。
「な、んで」
なんで奏雨が花暖先輩のことを。
奏雨はずっと寮生活で、俺は一度も向こうに帰っていないし不必要な外出も避けていた。
人混みは嫌いだ。
そうじゃないと分かっていても、いつの間にか人の視線に臆病になっていた。
そこまで考えて、ひとつの答えにたどり着く。
バカだ。
なんですぐに気付かなかった。
「……皐月……か?」
会うのは実に3年ぶりだというのに、状況が飲み込めなくてうまく言葉が出てこない。
「なん、で。あんなに頑張ってたのに、なんでこっちの高校に……」
「奈冷に会いに来たのよ。婚約者としてね」
「……は?」
次々とわき出てくる情報を整理しきれない。
婚約、と言われたって全く身に覚えがない。
第一俺と奏雨はそんな関係じゃなかったはずだ。
奏雨はただ暗く怪しげな笑顔を向けてくるのみで、詳しい説明なんて全然してくれない。
「ひどい奈冷。わたしと会わない間にどうして彼女なんて作っちゃったの?」
「え」
「……確か名前は、小日向花暖」
小さい頃は、奏雨の声を風鈴のようだと思っていたこともあった。
その声が今ではやけに低く響く。
「な、んで」
なんで奏雨が花暖先輩のことを。
奏雨はずっと寮生活で、俺は一度も向こうに帰っていないし不必要な外出も避けていた。
人混みは嫌いだ。
そうじゃないと分かっていても、いつの間にか人の視線に臆病になっていた。
そこまで考えて、ひとつの答えにたどり着く。
バカだ。
なんですぐに気付かなかった。
「……皐月……か?」