雪のとなりに、春。
「カノ、お前の席こっち」

「……また環くんの隣……」

「待て。なんで嫌そうなんだよ」


別に環くんが嫌な訳じないんだけども。
小さい頃から環くんは私のことを大切に思ってくれていて、困ったときはいつも助けてくれた。

実際、雪杜くんと付き合う前だって本当にお世話になった。

……けど、彼女以上に雪杜くんと仲良くするのは違うんじゃないですか!?

嫉妬でごうごうと燃える炎を背中にまといながら、環くんの隣の窓際の席に鞄を置く。


「で、奈冷がなんだって?」


仲良しマウントだ!!
マウントとってきましたよこの人!!


「環くんの意地悪!! もう環くんが個展開いたって行ってあげないんだから!!」

「あっそう。なら俺も、奈冷との相談なんも乗ってやーんない」

「だあああごめんなさいいいい」


結局相談には乗って欲しくてすぐさま頭を下げた。

こんな調子で環くんにすら勝てない。
マウントだってとられる。

聞けば環くんは週一で雪杜くんの家に遊びに行っていて、一緒に勉強をしたり最近はゲームもよくやったりしているらしい。

ずるい。

私は雪杜くんの家に入ることすら許してもらえていないのに。ずるい。

私も一緒の空間にいたい。
というかなんで彼女よりも一緒にいるの? ずるい。

< 6 / 246 >

この作品をシェア

pagetop