雪のとなりに、春。
「なんかカノのそういうとこ、嬉しいけどごめんってなる」

「あ、う、ご、ごめん……」


……実は私たち、1年の冬から2年の春まで付き合っていました。

環くんや萌ちゃんたち風に言うと、「付き合っていた」というよりも「パシリにされていた」と言った方が正しい関係だったけれど。

でもそれは私がよかれと思ってやっていたことなので、信濃くんが悪い訳じゃない。


「いや、俺もごめん。またちょうだい。カノがよければ……だけど」

「う、うん!!」


それに今は、こうして普通に……付き合っていたときよりも仲良くお話できるようになった。


「おーい統河くん? 俺に挨拶は?」

「あら環くん、いらっしゃったの? ごきげんよう」

「ええ最初からずっといましたわよ? ごきげんよう」


本当に色々あったけど、こうしてみんなと友達になれた。

去年は信濃くんだけ違うクラスだったけど、今年はみんな一緒のクラスでよかったなあ。


「今年もカノのガードがいるとか聞いてねえ……どうなってんだよクラス替え」

「お前にカノはやんねーよ」

「雪杜くん今何してるかなあ……」


お決まりになってきている2人のやりとりなんてそっちのけ。

私は小さくため息をついてから、窓の外に視線を移す。
学校をぐるりと囲むように植えられた桜の木が、淡いピンク色に染まっていて風に揺れている。

雪杜くんに出会ったのも、去年の春の……こんな日だったなあ。

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