雪のとなりに、春。
雪杜くんは川で溺れていた犬を助けようとしていて。
それを偶然見かけて手伝ったのが始まり。

桜が舞っている中でくしゃっと笑ったあなたに、私は見事に一目惚れした。

淡い青色に染まった髪の毛。
紺色の吸い込まれそうな瞳。

ああ、考えてたらもう会いたくなってしまった。

登校する人たちの姿をゆらゆらと目で追っていたとき。


「……ん?」


1人の女の子、に目がとまった。

淡い、青色の髪。
腰に届くであろう長くてさらっとしたストレートのそれは綺麗に風になびいている。
すらっとした足がきれいで、モデルさんみたい。


「きれい……」


すぐに見えなくなってしまったけれど、多分新入生……だよね?
あんなに綺麗な髪をした女の子なんて見たことないし、見ていたら確実に覚えているはずだ。

ふと、窓に反射して映る自分と目が合う。


桃色に染まった髪の毛。
頭の上に2つほど作っているお団子がお気に入り。
丸い顔に寸胴な体。

さっき一瞬だけ見えたあの子とは正反対の自分の姿に、もはやため息も出てこない。

自分に魅力がないのは分かってる。
去年、萌ちゃんに協力してもらって「乙女は黙って魅力アップ作戦」を決行してからお化粧だって少しはできるようになったし、根本的なお肌のケアだって見直したし、色々努力はしてるんだけどなあ。


「うう……雪杜くん……」


神様。どうしたらもっと雪杜くんとラブラブになれますか。

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